Traband『kolotoc』 2000The Pop Group『For how much longer do we torelate mass murder?』1983

March 06, 2004

フェリックス・ガタリ『カオスモーズ』2004

1992年の1月、ガタリさんと直接お話をする機会がやってきました。ちょうどコミカレの招聘で来日された時です。主催者のはからいで、僕たちが企画したガタリさんの対談が実現したのです。お相手は大澤真幸さん。対談はある広告代理店の会議室で行われました。ガタリさんが部屋に現れた時、たいそう驚きました。なんともステキでオシャレなおじさんだったからです。あとからガタリさんがある有名企業のご子息であることを聞いてようやく納得できました。でもその時は、あの過激で難解なエクリチュールが目の前にいる粋でダンディなおやじの頭と手から生まれたものとはとうてい想像がつきませんでした。それはともかく、対談はとてもアグレッシヴで有益なものになりました。会場を去る間際にガタリさんは大澤さんにこう告げました。「パリに着た時にはどうぞ気楽に連絡をして下さい。われわれの対話を終わらせないためにも」。しかしそれは二度と実現することはありませんでした。ご存知のように、ガタリさんはその年の8月帰らぬ人となったからです。「カオスモーズ」は、その対談の主要なテーマでもありました。カオス(渾沌)とコスモス(宇宙)とオスモーズ(浸透)を一つにした造語。カオスへ向かって身体を開いていくことは、同時に身体というミクロコスモスに、コスモスを内包していくことでもあります。そのクラインの壺のような相互浸透の場が、われわれがめざすべき身体であり社会であると。そして11年後の今年、『カオスモーズ』の翻訳がようやく出版されました。
カオスモーズ

cauliflower at 23:55│Comments(0)TrackBack(0) 書籍 

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