December 2003

December 29, 2003

「魅惑のチャチャチャ」オルケスタ・アラゴーン

フランス文化の香りをプンプンさせたチャチャチャというと、いったいどんな音楽だろうと思うでしょう。そうなんです、ハイチからキューバに渡って胚胎したチャランガ・フランセーサは、キューバ産のハマキをくわえて見るフランス映画のような、なんとも不思議な音楽。ヴァイオリン・アンサンブルを中心にフルートが優雅で気品のある雰囲気を醸し出します。なのに、踊れるんですよ、これが。僕はというと、じつは原稿を書く時によく聴いているんですね。
オルケスタ

cauliflower at 23:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ラテン 

December 26, 2003

「WAKA/JAWAKA」Frank Zappa

1977年のことです。僕は、SEGOの門をたたきました。志を同じくする荒くれどもがすでに松濤に結集していました。N君もその一人。彼は横浜馬車道の呉服屋の御曹司。アバンギャルドなドラムと謡とエロスを愛するハンサムボーイでした。ザッパを初めてちゃんと聴いたのは、彼のうちに遊びに行った時です。けれん味たっぷりで毒に満ちた、でもとびきりステキなその音をいっぺんで好きになりました。彼とは、その秘密結社での数年間に及ぶ工作活動の後も、一緒にいろいろ悪さをしました。悪ふざけに明け暮れた20代。まるでザッパの音楽のような日々でした。
「WAKA/JAWAKA」Frank Zappa
ザッパ

cauliflower at 14:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ロック 

ノヴァーリス『ノヴァーリス全集』牧神社 1976年

世界の一切は、さまざまな結合と遭遇との出会いによって生成(うま)れるのです。その瞬間が快感であり、陶酔です。僕は今すべてを捨てて、山に入ろう。そして、大地の霊と交歓するのだ。
「時に星が人間であり、またたちまちにして人間が星であった。石が動物になり、雲は草木であった。」
「ザイスの学徒」を読み終えた時のあの高揚感を一生わすれることはないでしょう。僕はすっかりりっぱな鉱山技師になっていたのですから。そして傍らには愛しきゾフィーが…。
『ノヴァーリス全集』牧神社、1976年

ノヴァーリス

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December 24, 2003

「グッバイ・スィングタイム」ザ・マシュー・ハーバート・ビッグ・バンド

ふだん電子音楽をつくっているマシュー・ハーバートがビックバンドに挑戦した意欲作。といっても、グレン・ミラー楽団をやるんじゃないのです。総勢20名のメンバーのために書かれたスコアをいったんズタズタに解体したうえで再構築し、さらに、彼らがスタジオで楽器以外に鳴らした音を、そのなかにパッチワーク状にちりばめる。「なぜそんなのが面白いの?」ということを、これでもか、これでもかとやりまくっているのです。でも、これがめっぽう面白い!! そして、なんと彼は新宿リキッドルームでライブまでやってのけました。フロアを躍らせないビッグバンドってたぶん彼らのほかにはいないでしょうけどね。
マシュー

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December 23, 2003

『キッチュ まがいものの時代』

『遊』がまだオプジェマガジンと名乗っていた第1期の編集者、松岡正剛と上杉義隆に美術評論家の石子順造が加わって制作された「キッチュ」づくし。キッチュと思しきものを片端からコレクションした図像と、キッチュとまじめに向かい合った論文ががっぷりよつで対峙するという奇っ怪このうえないこの本を古本屋で見つけた時は狂喜乱舞しました。松岡さんと『ガロ』系の石子さんが一緒に編集しているというのも興味深々。ですが、なんといってもあの杉浦康平さんが俗悪趣味に徹したデザインをしているというところが見物です。
『キッチュ まがいものの時代』ダヤモンド社、1971年
キッチュ

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December 22, 2003

「弦楽4重奏曲 第1番クロイチェル・ソナタ 第2番 ないしょの話」ヤナーチェク

ひとの話が旋律のように聞こえる。そんな経験ってありますか。ヤナーチェクはよくひとの会話や話し声を採譜して記録したんだそうです。モラビア出身のそんなユニークな音楽家のことを中沢新一さんの『音楽のつつましい願い』(筑摩書房)を読んで知りました。すぐに興味を持って買ったのがこれ。タイトルの「ないしょの話」というのは、ヤナーチェクが60歳をすぎた時、なんと三回りも歳下の人妻カミラと恋に落ちた時にあてた恋文のこと。旋律を言葉にできたヤナーチェクの必殺技手というわけです。
ヤナーチェク

cauliflower at 21:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) クラシック 

December 21, 2003

『批評あるいは仮死の祭典』蓮實重彦

大学に入った年の大晦日のことです。僕は、なぜかこの一冊を布団の中でむさぼり読んでいたのです。そして元旦。布団から出た時には、まったく違う思考を始めていました。フーコー、ドゥルーズ、バルト。この著者を通じて知ることとなったフランス現代思想が、その後の僕の行く末を決定づけました。
でも、まさかこの著者が十数年後に東大総長になるなんて、誰が想像できました?
『批評あるいは仮死の祭典』1974年せりか書房発行。
批評あるいは仮死の祭典

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December 20, 2003

「DE9 CLOSER TO THE EDIT」 Richi Hawtin

2001年のフジロックのことです。グリーンステージで隣にいた男の子が声をかけてきました。田中君というアーティストにしてDJ。彼は、前日に見たプレイがよかったんで、フジロックのオールナイトでもう一回彼が回すと聴いてオートバイにのって駆けつけたのでした。彼の名は、Richi Hawtin。1曲から何百ものビートを切り取って、それをまた再構築するというデコン派DJ。デトロイトテクノの継承者でもあります。田中君に勧められて買ったのがこれ。すっかり僕もファンの一人になりました。
richie hawtin

cauliflower at 00:10|PermalinkComments(0)TrackBack(1) テクノ 

December 19, 2003

『アイドルを探せ』吉田まゆみ

今お風呂でラジオを聴いていたら、ユーミンと小林克也が80年代ポップスについて語り合っていました。二人によると、80年代って「寝つきの悪い時代」(ユーミン)、「いや、寝つきはいいんだけど、すぐ眼が覚めちゃう感じ」(克也)だったんだそうです。でも、80年代を代表するミュージシャンといえばやっぱりユーミンですよね? ということは、寝つきも悪いし、寝ては眼を覚ますような…、不眠症の音楽か。
あえて音楽は避けて、80年代というと僕はこれ。チカちゃんみたいな女子大生はこの時代たくさんいましたよね。
『アイドルを探せ』吉田まゆみ 1985年
アイドル

cauliflower at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0) コミック 

つげ義春作品集

下北沢の当時よくかよっていた古本屋に『ガロ』の別冊(作家特集)が数冊並んでいるのを見つけて、思わず買った一冊が「つげ義春」の特集号でした。ごたぶんにもれず僕も衝撃を受けました。なによりも「メメクラゲに左腕を噛まれた少年が海から現れる」その冒頭の作品には戦慄。この「ねじ式」は、コミック表現が格段に広がった現在であっても、アバンギャルドな精神性では一歩もひけをとりません。
『つげ義春作品集』は、その別冊号をまるごと愛蔵版に編集し直したもの。1973年発行。ちなみに、この表紙の絵が「メメクラゲ」の問題のページ。
つげ

cauliflower at 18:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0) コミック 

December 18, 2003

「ポートレイト」カエターノ・ヴェローゾ

ブラジリアに行った時のことです。カメラマンの伊奈英次さんと撮影の合間にカフェでお茶をしていたところ、突然BGMから今まで一度も聴いたことのない旋律が聞えてきました。いったいなんだこの音楽は。そのカフェの入っていたショッピングセンターには都合のいいことにレコードショップがありました。すぐに飛んで入って、「今、かかっているのはどのレコード?」とかたことのポルトガル語で(うそです英語)尋ねました。それがカエターノとの出会いでした。そのBGMとは、このライブ版の5曲目「QUEIXA」。「王女様 君は僕を打ちのめした」とリフレインする曲。もちろんカエターノは男性ですが、ちょっと出来すぎな話でしょ。
ガエターノ

cauliflower at 23:10|PermalinkComments(0)TrackBack(1) ブラジル 

December 17, 2003

「幼児イエズスに捧ぐ20のまなざし」オリヴィエ・メシアン

カトリック教徒ではないので、カトリック神秘主義というものがどういうものかは知りませんが、このアルバムに収められている20の小品は、メシアンの解釈したカトリック神秘主義を作品化したものだそうです。4つの主題が循環するピアノ曲。最初何度聴いても20も曲がない。もしかして乱丁かと思ってタワレコに訴えようと思ったら、2枚組だったというアホなオチがつきました。
「幼児イエズスに捧ぐ20のまなざし」1994年
メシアン

cauliflower at 19:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 現代音楽 

December 16, 2003

イマージュの解剖学

ハンス・ベルメールと呼ぶだけで声が震えてしまいます。四谷シモンの魂のお師匠さんでしたっけ。澁澤龍彦の部屋に飾れていたドイツ少年ももちろん好きですが、やはりお師匠さんの胴体だけの少女にはかないません。
卒論にバタイユを選んだ時、僕の頭の中にあったのはこの少女の姿態でした。「…匂う内側の皮膚は、花をむさぼり食べる。…」
『イマージュの解剖学』河出書房新社1975年
イマージュ

cauliflower at 20:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ヴィジュアル 

December 15, 2003

病める舞姫

日曜日に川崎市岡本太郎美術館で開催されている「「肉体のシュールレアリスム 舞踏家土方巽抄」に行て、土方巽の舞台を撮影した「疱瘡譚」フルバージョン(95分)を見ました。
1972年アートシアター新宿文化「四季のための二十七夜」の一つとして上演されたもので、土方のソロがふんだんに見れる映像記録です。舞踏とは土方巽のことだったと改めて確信しました。それで本の一冊目は83年発行『病める舞姫』(白水社)に。
病める

cauliflower at 00:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書籍 

December 14, 2003

「lovemen plays for psychical sings」emergency!

新宿ピットインで「ビル・ラズウェル、大友良英、芳垣安洋」のライブを見ました。
ゲストに勝井祐二(Vn ROBO)、菊池ナルちゃん(Sax DPRG)。すさまじい演奏でした。こんなエッジのきいた、サイキックなセッションはひさしぶり。すっかり堪能して帰ってきました。そんなんで今日は、ビル・ラズウェルはいないけれど大友と芳垣が炸裂している「emergency!」2003年に。

emergency!

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December 13, 2003

ブレイブ・コンボのクリスマス

これから我が家の本やレコード、CD、好きなものをおいおい紹介していきます。本は3000冊、レコード、CDあわせて1200枚、好きなものは、たとえば「タイムスリップグリコ」とか……。
その記念すべき一回目は、季節柄クリスマスものにしました。
「ブレイブ・コンボのクリスマス」91年
ワールドミュージックが盛り上がっていた91年のちょうど今ぐらいの季節に買った1枚。お気に入りは、4曲目の「イッツ・クリスマス」。チャチャチャとサンタの衣装がこんなにマッチするなんて思いもしませんでしたね。ツリーの前ではじけること間違いなしです。
ブレイブ・コンボは何回か来日もしていて、3回目だったと思いますが渋谷に見にいきました。とにかく芸達者な人たち。マンボにサンバにポルカに、次々と繰り出されるリズムに会場はやんやんやんやの大喝さいでした。
ブレイブ・コンボのクリスマス

cauliflower at 22:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ワールドミュージック